僧帽筋は面積の大きい筋肉で上部、中部、下部の3つで構成されています。

起始
上部 上項線内側3分の1、外後頭隆起
中部 Th1~6(胸椎1番〜6番の棘突起)
下部 Th7~12(胸椎7番〜12番の棘突起)
停止
上部 鎖骨外側3分の1
中部 肩甲骨の肩峰
下部 肩甲棘三角部
支配神経
副神経(CN11)
頚神経叢(C3~C4)
作用
上部 肩甲骨の挙上、上方回旋、頸椎の伸展、側屈
中部 肩甲骨の内転、上方回旋
下部 肩甲骨の下制、上方回旋、内転
僧帽筋は部位によって繊維走行が異なるため、多くの肩関節の動作が可能になっている。
全ての部位に共通する作用は肩甲骨の内転、上方回旋である。
肩こりが起こる代表的な筋肉でもあるが、僧帽筋は肩関節の内外転動作、肩甲骨の上下方回旋動作、肩関節下垂位において、上部、中部、下部それぞれが支え合って成立している。
肩関節180°外転時、挙上位においては、下部繊維が安定性を保持し、肩関節下垂位においては上部繊維が安定性を保持してくれている。
僧帽筋がうまく働かないことで翼状肩甲骨になる恐れもある。
翼状肩甲骨とは、肩甲骨の内側が天使の羽のように浮き出ている状態を呼ぶ。
肩関節外転時においては三角筋、棘上筋、僧帽筋(上部、中部)のフォースカップル作用(複数の筋肉が共同して働く)が重要になってくる。
これらが肩甲上腕リズムに繋がってくる。
○肩甲上腕リズム
肩関節が180°屈曲、外転時には肩甲骨が上腕骨と一緒に上方回旋する必要がある。
1、外転0〜30°、屈曲0〜60°
肩甲骨が胸郭に安定された状態で上腕骨だけが動く
2、外転30〜90°、屈曲60°以上
上腕骨:肩甲骨、2:1の比率で動く
肩関節外転2°おきに肩甲骨が1°ずつ上方回旋する
3、外転90〜180°以上
上腕骨:肩甲骨、1:1の比率で動く
肩関節外転2°に対して上腕骨、肩甲骨それぞれ1°ずつ可動する