広背筋は背中に広く走行しているトレーニーが好んでトレーニングする筋肉でもありますが、面積は広いものの体積は小さい筋肉です。
起始
T7~T12(胸椎7〜12番)、L1~L5(腰椎1〜5番)
仙骨棘突起、肩甲骨下角
胸腰筋膜、腸骨稜後部3分の1
第9〜12肋骨
停止
上腕骨小結節稜
支配神経
胸背神経(中肩甲下神経又は長肩甲下神経)
後神経束の枝(C6~C8)
作用
肩関節伸展、内転、脊椎の側屈、伸展、肩甲骨の内転、下制
広背筋は弱化によって猫背が起こっているという考察がされるが、猫背の姿勢の状態で広背筋の強化を行うと上腕骨頭が前方に位置することから、広背筋の走行が脊椎をまたぐ形になり、作用が脊椎伸展から屈曲へと変わってしまうため、むしろ悪化させてしまう可能性がある。これを広背筋パラドックスと呼ぶこともある。
これらを踏まえて、猫背は広背筋を鍛えるのではなく、その他根本的要因を改善する必要がある。
他の原因として、大胸筋、小胸筋、前鋸筋、菱形筋、僧帽筋、腹直筋、外腹斜筋、大腰筋、腸骨筋、大臀筋、前脛骨筋、下腿三頭筋などが挙げられる。
モーターコントロール上の原因も考えられる。
肩こりの原因となる筋肉でもある。
広背筋の過度な緊張、短縮によって、肩甲骨の上方回旋がスムーズにいかなくなり、肩峰が挙上する形で僧帽筋が優位に働きながら上腕の挙上を行ってしまうことによって僧帽筋の負担が大きくなってしまう。
肩関節の可動時に肩甲骨の可動性が大切となってくる。
肩関節屈曲時ー肩甲骨外転、上方回旋→肩甲骨内転、上方回旋、下制、後傾
肩関節外転時ー肩甲骨内転、上方回旋
屈曲時、外転時に可動域制限がかかった場合、これらの動作を行う際に必要となる筋の弱下、機能不全と考察することが可能となる。