内転筋群は大内転筋、長内転筋、短内転筋、薄筋、恥骨筋に分類されます。
起始
大内転筋 恥骨下枝
長内転筋 恥骨結合
短内転筋 恥骨下枝
薄筋 恥骨結合
恥骨筋 恥骨上枝
停止
大内転筋 大腿骨内側上顆、大腿骨粗線内側唇
長内転筋 大腿骨粗線内側唇
短内転筋 大腿骨粗線内側唇
薄筋 鵞足
恥骨筋 恥骨筋線
支配神経
大内転筋 閉鎖神経(L3,4)、坐骨神経の枝
長内転筋 閉鎖神経(L3,4)、坐骨神経の枝
短内転筋 閉鎖神経(L3,4)、坐骨神経の枝
薄筋 閉鎖神経(L3,4)
恥骨筋 大腿神経(L2~L4)、閉鎖神経
作用
大内転筋 股関節伸展、内転、内旋
長内転筋 股関節内転
短内転筋 股関節内転、屈曲
薄筋 股関節内転、屈曲
恥骨筋 股関節屈曲
内転筋群は日常生活において使用する機会が少ないため弱化しているパターンが多く見られます。
内転筋群の弱下により、内股、X脚などのエラーが起きてきます。これらは内転方向に短縮していることから内転筋群が強いという考察がされがちですが、逆の視点で考えることも必要です。
反対側の外転、外旋筋は内転、内旋しすぎないよう筋長を保ってくれているような形になります。他の筋でも当てはまることですが、抗重力か否かが鍵となります。
大内転筋は立位時には起始部から停止部にかけて捻れています。これらは股関節伸展時に向き合います。股関節伸展時及び立脚後期に内旋作用も働きます。
股関節伸展時に外旋してしまうようなエラーが出た際には内転筋群が使えていないと言えるでしょう。内転筋群が使えていないということは大腿筋膜張筋などが代償的に働いている場合があります。
逆に捉えると、大腿筋膜張筋の過度な緊張が見られた時、内転筋群にフォーカスを当てることもできます。
伸展時に半腱様筋、半膜様筋が代償的に働く場合がありますが、このパターンは半腱様筋に負担がかかることにより鵞足炎のリスクも高まります。
大内転筋は大臀筋との連結も見られるため、働くためには骨盤の適度な前傾を作ってあげることも重要です。
薄筋については、縫工筋の時に挙げたように、鵞足に付着していますので、鵞足炎との関連性もあります。