腸腰筋は2筋の名称であり、大腰筋と腸骨筋の2つに分けられます。文献により異なりますが、小腰筋が記載されている場合があります。小腰筋は3割程度のヒトにしか存在しないと言われています。
起始
大腰筋 Th12~腰椎横突起
腸骨筋 腸骨窩
停止
大腰筋 腸骨筋、大腿骨小転子
腸骨筋 大腿骨小転子
支配神経
大腰筋 L1~L4の枝
腸骨筋 大腿神経(L2,3)
作用
大腰筋 股関節屈曲、大腿骨外旋
腸骨筋 股関節屈曲
大腰筋は腸骨筋と腱を共有して大天使に付着しています。
大腰筋はアライメントによって作用が変わる筋でもあります。
これを大腰筋パラドックスと呼んだりもします。
大腰筋は海外に比べ日本人は小さいと言われております。
大腰筋の筋力に差が生まれると、特にスプリンターなどに差が生まれやすいです。
骨盤の前傾に働く筋です。スプリンターなどは当然前方への移動が優れているわけですが、前方への移動が優れているということは、重心位置も前方である必要があります。
腸腰筋の股関節屈曲は走行から、積極的屈曲ではなく、伸展時からの屈曲作用であると分かります。
多少の外旋作用がありますが、大腿骨の角度により強度は異なります。
寛骨臼に対して大腿骨が内転していて腸腰筋の走行が体幹に対してほぼ垂直となるので、外旋作用は弱くなります。このようなアライメントは女性に多く見られます。
逆に、外転及び、地面に対して垂直に大腿骨が位置していれば外旋作用が強く働きます。
腸腰筋は遠心性の収縮により働き、伸長反射によって股関節の屈曲作用に働きます。
屈曲時に外旋に働く腸腰筋が上手く作用していないと、屈曲時に内旋、伸展時には外旋してしまう特徴があります。屈曲時には内転筋群、縫工筋、大腿直筋、腸腰筋などさまざまな筋群が働きますが、腸腰筋とともに、内転筋群などの機能低下により、外転、内旋作用のある大腿筋膜張筋がカバーする形になり、X脚、ニーイントゥーアウトなどのリスクが高まります。
股関節伸展外旋が起きてくると、大腿骨頭が前方に向く形となりますので、インピンジメントが起こる可能性もあります。
大腰筋と腰方形筋は前後に位置し、その間を多数の神経が走行しています。
腸骨下腹神経、腸骨鼠径神経、陰部大腿神経、外側大腿皮神経、大腿神経、閉鎖神経、腰仙骨神経
これらに影響を及ぼす可能性もあります。